FC2の創業者が日本に帰国後、わいせつ動画を不特定多数の人に閲覧可能な状態にしたことで、京都府警により逮捕されました。

そんなニュースが流れると、FC2でアダルトなコンテンツ、いわゆる同人AVを販売している人は大丈夫でしょうか?
また、FC2で同人AVを販売する場合風営法の届出は必要になるのか。

この疑問に風営法専門の行政書士が解説します。

FC2で同人AVを販売するには映像送信型性風俗特殊営業の届出が必要

結論、FC2でアダルトコンテンツを投稿する場合、風営法の届出が必要になります。
この場合必要になるのが、「映像送信型性風俗特殊営業」の届出。

「映像送信型性風俗特殊営業とはなんぞや?」という感じだと思いますが、風営法では次のように定義されています。

この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条8項

めちゃくちゃわかりづらいかもですが、要はインターネット上で営利目的で、動画あるいは静止画のアダルトコンテンツを投稿することを指します。

したがって、FC2で同人AVなどのアダルトコンテンツを投稿してお金を稼ぐ場合、映像送信型性風俗特殊営業に該当します。

ゆえに、映像送信型性風俗特殊営業の届出なしでFC2で同人AVを販売すると、六ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその両方が科せられます(風営法第52条)。

「おいおいちょっと待てよ。FC2はアメリカの法人なんだから日本の法律なんか関係ないだろ」と言う人がいるかもですが、サービスの法人が海外にあろうと、日本でアダルトコンテンツを投稿する以上日本の法律に縛られます。

映像送信型性風俗特殊営業の手続きについて

映像送信型性風俗特殊営業の窓口は警察。
なので、届出は所轄の警察署で行います。

届出に必要な書類は以下。

1. 映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書(別記様式第31号)
2. 営業の方法を記載した書類(別記様式第32号)
3. 事務所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書の写し・建物に係る登記事項証明書など)
4. 住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
5. 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票(4に同じ)

1と2の書類は法的様式で警察署のHPからダウンロード可能。
この中でネックなのが3の使用承諾書。

というのも、映像送信型性風俗特殊営業の要件として事務所が必要になるのですが、その物件オーナーに「この物件を映像送信型性風俗特殊営業の事務所として使わせてください」という使用承諾書を書いてもらう必要があるのです。これが結構難関。

なぜなら、物件オーナーからしてみれば自身の物件を「性風俗」と名の付くものに利用されるのを嫌がるから。中には「風俗店をやるのか?」と誤解する物件オーナーもいるでしょう。なので、物件を契約する際には、映像送信型性風俗がどういうものかを丁寧に説明する必要があります。

現在の自宅を事務所として使うこともできますが、その場合でも賃貸なら使用承諾書を書いてもらう必要があります。

ちなみに、この事務所はレンタルオフィスでも構わないので、当事務所に届出のご相談をいただければ、提携しているレンタルオフィスをご紹介できます。

これらの書類全て揃えて、所轄の警察署に提出します。

女優さんを使うならAV新法が規定する契約書が必要

女優さん(素人の女の子など)を使って同人AVを制作する場合、AV新法が関係してきます。

AV新法を簡単に説明すると、「AV撮影をする場合はちゃんと女優さんに契約書を交付しましょうね」という法律。

AV新法は映像製作者(同人AVを制作する人)に次の義務を課しています。

  1. 出演契約締結時の契約書等の交付
  2. 説明書面の交付
  3. 撮影時の出演者の安全を確保する義務
  4. 契約から1か月間の撮影禁止
  5. 全ての撮影終了から4か月間の公表禁止

一番のポイントは、契約書の交付義務。

しかもこの契約書は1作品毎に交付しなければなりません。もっとも、「動画1」「動画2」と、分割して配信する場合は契約書の交付は一回でOK。あくまで1撮影1契約というルールです。

その他にも厄介なルールがあるので、詳しくは下記記事参照。
参考: AV新法/AV出演被害防止・救済法におけるAV製作者の注意点!同人AVとの関係も解説

なお、女優さん・男優さん使わず、自分1人で撮影する場合はAV新法は関係ありません。
その場合契約書を交付する相手がいませんからね。

FC2動画の同人AV販売で逮捕される原因

FC2で同人AVを販売して逮捕される人は、大抵無修正動画の投稿で捕まってる印象です。

無修正動画の投稿は、刑法175条が規定するわいせつ物頒布等の罪に該当し、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金、又はその両方が科せられます。

それでも無修正動画の投稿が後を絶たないのは、それだけ無修正動画を望むユーザーが多いということでしょう。

しかし、無修正コンテンツの摘発はかなり多く、警察も常に目を光らせているので絶対にやめてください。

さらに、野外等で撮影した映像を公開した場合、刑法174条公然わいせつに該当する可能性もあり、こちらも注意が必要です。
撮影は原則屋内で行いましょう。

AV新法に違反して摘発されるケースも増えています。
最も多いのがやはり契約書の不交付。
詳しくは下記記事参照。
参考: AV新法で逮捕される原因

仕事柄様々な摘発事例をリサーチしていますが、エロ関係で逮捕される人は、逮捕されるべくして逮捕されていると感じます。
すなわち、グレーゾーンを歩いててたまたま運が悪くて捕まってしまった、ということではなく、初めから真っ黒でそりゃあ逮捕されるわな、という人たちばかりです。

なので、しっかり法律を理解し、適法にアダルトコンテンツを制作し、適法にマネタイズしていれば通常逮捕されることはまずありません。

おわりに

当事務所は風営法専門の行政書士事務所ですので、映像送信型性風俗特殊営業の届出の代行を承っていますので、必要な方はお気軽にお問い合わせください。