個人で制作したアダルト作品、いわゆる同人AVをFC2やpornhuber等で配信して稼ぐ人が増えています。
しかし、こうした人たちが増えれば当然警察もマークするわけで、無修正性行為動画を配信して9500万円を荒稼ぎしたカップルが逮捕されました。
参考: 〈無修正動画にカップル自ら出演して逮捕〉32歳女性らがわいせつ動画や写真を海外サイトなどに投稿で9500万円の収益
しかし、法律上では同人AVを制作するのは禁じられていません。
本記事では同人AV制作で逮捕されないための正しい法知識を風営法専門行政書士が解説します。
まず同人AVを制作するなら風営法の届出を出そう
大前提ですが、同人AVを制作し、それをFC2やpornhube(ポルノハブ)等で配信する場合は風営法の届出を出した方がいいです。
具体的には、「映像送信型性風俗特殊営業」という届出です。
これは風営法2条8項に規定されているものです。
この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条8項
ネット上でアダルトコンテンツを配信する場合、映像送信型性風俗特殊営業の届出を出すことになります。
もっとも、「営業」ですので、営利性がなくただ単に趣味で配信している場合は届出不要。
おそらくアダルト配信で最も有名であろう「えむゆみカップル」は、pornhubeを中心にアダルト配信をし5億円を稼いでいますが、彼らはちゃんと映像送信型性風俗特殊営業の届出をして活動しています。
参考: 動画編集は外注、成果物の弁護士チェックも…Pornhubの動画経由で誘導、ファンクラブ収益が月2000万円に達する「えむゆみ」に聞く新時代の“同人AV”
えむゆみカップルが摘発されないのは、しっかし届出を出してかなり入念にリーガルチェックをしているからでしょう。
したがって、真っ当に活動したければ、映像送信型性風俗特殊営業の届出はマストです。
なぜ同人AV制作で逮捕されるのか
前述した通り、同人AVを制作するのは合法。ではなぜ逮捕される人が出てくるのか。
それにはいくつか理由がありますが、大体は以下の2つが原因です。
1. 無修正で配信してしまう
より過激であればより閲覧数が増えるため、同人AVを無修正で配信する活動者が後を絶ちません。
しかし、言うまでもなく無修正同人AVは違法。
具体的には刑法175条わいせつ物頒布等の罪に該当します。
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
刑法175条
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
わいせつな物を頒布(はんぷ)した場合本法が適用されます。わいせつ性の解釈にはその時の時代の価値観で変わるので一概には言えませんが、無修正AVはまずわいせつ物にあたると考えていいでしょう。
海外サーバーを利用すれば大丈夫という主張もありますが、撮影地が国内なら日本の法律が適用されるので関係ありません。
2022年に、無修正の同人AVをFC2で販売していた会社役員がわいせつ物頒布等の罪で摘発されています。
参考: 「無修正」と伝えず違法AV撮影か、出演女性「知っていれば出なかった」
無修正配信は絶対にやめること。必ずモザイク処理を施すようにしてください。
2. 公然わいせつ罪に該当してしまう
同人AVの撮影が公然わいせつ罪に該当してしまう可能性があります。
条文は以下。
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は勾留若しくは科料に処する。
刑法174条
「公然」とは特定または不特定多数の人が認識しうる状態を指し、わいせつな行為とは、例えば性行為などです。
なので、野外で同人AVを撮影すると公然わいせつ罪に該当する可能性があります。
2022年にRYO&YOUのカップルポルノハバーが、観光名所の野外で性行為の撮影をしてあえなく御用となりました。
参考: 「バレないように森の中で」公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」が語っていた野外動画撮影の“対策” 実際には公園、海岸でも裸に
仮に映像送信型性風俗特殊営業の届出を出していても、野外でこのようなアダルト配信をした場合、届出の有無は関係なく公然わいせつ罪に問われますので注意してください。
【まとめ】同人AV制作で真っ当に稼ぐためにするべきこと
エロの世界はピンクオーシャンと言われており、トップ層にいけば億単位の収益を稼ぎ出せる夢ある世界です。
だから個人でAVを制作する者が後を絶たないわけですが、ちゃんとした法知識がないと即お縄となります。
公然わいせつの罪は最高でも30万円の罰金ですから、一見大したことがないように思えますが、ニュースで報道されてしまうと、実名が露見してしまう恐れがあり、匿名で活動しているクリエイターからすれば大打撃です。
したがって、同人AVで真っ当に稼いでいきたいなら、しっかり映像送信型性風俗特殊営業の届出を出し、ちゃんとモザイク処理をし、野外撮影などをせず合法的に活動してください。
当事務所では映像送信型性風俗特殊営業届出の代行を承っていますので、これから活動したい方はぜひ当事務所にご連絡ください!