フィリピン人の女性キャストが男性客をもてなすお店、それがフィリピンパブ。果たしてこのフィリピンパブに風営法は関係してくるのでしょうか?

その疑問に風営法専門行政書士の私が解説します。

フィリピンパブと風営法の関係について

結論からいうと、フィリピンパブは風営法に規定されている風俗営業許可を取らないと営業できない可能性が高いです。

というのもフィリピンパブは、フィリピン人の女性キャストが男性客に対して談笑の相手になったりお酌をしたりしますが、これは風営法上の「接待行為」に該当し、接待行為がある場合は風営法に規定する「風俗営業許可」が必要になります。
参考: 風営法における接待行為とは何か

風俗営業許可は1号から5号までありますが、フィリピンパブの場合キャバクラやホストクラブ同様の1号許可が必要になるでしょう。1号許可は「社交飲食店」と呼ばれ、フィリピンパブは形態的に1号に該当する場合がほとんどだからです。

フィリピンパブ許可申請の流れ

大まかにフィリピンパブの許可申請の流れを箇条書きします。
(基本的な社交飲食店許可申請の流れです)

1.  出店予定地の用途地域を調べる(基本的に風俗営業は商業地域と近隣商業地域で営業可能です)
2.  保全対象施設を調べる(学校などの施設が店の近くにあると営業不可)
3.  用途地域と保全対象施設に問題がなければ物件を契約する
4.  設備要件を整える(見通しを妨げる設備を置かない、スライダックス等の撤去)
5.  飲食店営業許可を取る(風俗営業許可1号は飲食店営業許可が必要です)
6.  申請書類を用意する
7.  店舗の測量をし図面を描く
8.  風俗営業許可申請をする
9.  実査を受ける(実査には、浄化協会、警察所轄担当者、消防署、建築指導課が営業所に来られます。提出された図面通りの店舗かどうかかなり細かく確認されます)
10.   提出書類と実査に問題がなければ風俗営業許可が下りる

このほか風俗営業許可には人的要件があり、申請者に逮捕歴等があって一定の期間が経過していないなど、特定の事由がある場合許可が下りません。これも申請前に確認する必要があります。

風俗営業許可はかなり専門的な知識が要求される上に、県の条例や担当警察署によって対応が異なったりもする上に、測量と図面作成が必須なので、素人で申請はまず無理です。多くの許認可には役所に申請の手引きが用意されていますが、こと風俗営業許可においてはそんな便利なものは一切ありません。
なので、必ず専門の行政書士に依頼するようにしてください。

フィリピン人の雇用について注意点

フィリピン人キャストを採用する際の注意点です。
法律上、フィリピンパブで働けるフィリピン人の在留資格は以下の4つのみです。

・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者

これらの4つは就労制限がない身分系の資格です。そのためフィリピンパブでも問題なく就労可能なのです。
必ず上記の4つに該当するか確認してください。

申請から許可が下りるまでの日数

風俗営業許可は、申請から許可が下りるまでの標準処理期間が55日(土日含まず)です。
あくまで目安なのでこれを超過する場合もありますが、大体2ヶ月半程度で見ておけばいいでしょう。
これにプラスして飲食店営業許可の申請日数もあり、飲食店営業許可は申請から2~3週間ほどで許可が下ります。

なのでまとめると、フィリピンパブは申請から許可が下りるまで大体3ヶ月程度かかる見込みです。
ただ、これは行政書士が関与した場合の話で、行政書士に頼まず本人申請でやった場合、このスケジュールではまず収まらないでしょう。