風営法では一律に営業時間が設定されているわけではなく、業態ごとに営業時間が設定されています。
本記事では風営法専門の行政書士が、風営法の営業時間について解説します。
風俗営業の営業時間(キャバクラ・ホスト・ゲームセンター・パチンコ・雀荘等)の営業時間
風俗営業は1号から5号まであり、主にキャバクラ・ホストクラブ・ゲームセンター・パチンコ店などです。
結論からいうと、風俗営業は深夜帯は営業してはいけません。
深夜というのは午前0時から午前6時までの間です。
根拠法令は13条。
実際、キャバクラやホストクラブは0時で閉店の店が多いはずです。
なお、都道府県の条例によって営業延長許容地域が定められており、この地域に関しては特別に午前1時までの営業が許されています。
第13条(営業時間の制限等)
風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。
一都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として当該条例で定める日当該事情のある地域として当該条例で定める地域
二前号に掲げる日以外の日午前零時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い当該条例で定める地域
例えば新宿区だと、大久保一丁目、神楽坂一丁目、若宮町等々が営業延長許容地域に指定されています。
これから風俗営業許可を取られる場合は、出店地域が営業延長許容地域に該当するか、条例を確認するか担当行政書士に聞いてみるといいでしょう。
なお、風俗営業でも4号営業にあたるパチンコや雀荘は、多くの県で営業時間が23時まで定められています。
東京都の条例を確認すると、4号営業は午後11時から翌日の午前10時まで営業が禁止されています。
そのため、東京都でパチンコ店を営む場合は、10:00~23:00の時間以外は営業ができないことになります。
特定遊興飲食店営業(ナイトクラブ・スポーツバー・ライブハウス)の営業時間
特定遊興飲食店営業は平成27年の風営法改正で誕生した許可業種で、主にナイトクラブやライブハウスなどが本営業に該当します。
特定遊興飲食店営業は風俗営業と異なり深夜帯も営業可能ですが、何時まで営業できるかは県の条例次第。
東京都の場合だと午前5時から午前6時までの間は営業禁止。
なので、午前5時には一旦店を閉める必要があります。
深夜酒類提供飲食店営業(BAR、ガールズバー、居酒屋)の営業時間
深夜酒類提供飲食店営業は、深夜にお酒をメインに出す業態で、主にBARやガールズバー居酒屋などが該当します。
我々行政書士は、深夜酒類提供飲食店営業は長いので「深酒(ふかざけ)」と呼びます。
深酒は営業時間の制限は特になし。
条例での制限もありません。
したがって24時間営業が可能です。
性風俗関連特殊営業(デリヘル・ソープ等)の営業時間
性風俗特殊営業は、主に店舗型と無店舗型がありますが、無店舗型(デリヘル等)は営業時間に制限がありません。24時間営業が可能です。
一方店舗型は条例で制限がされています。
東京都の条例だと午前0時から午前6時までの間が営業禁止時間。
店舗型とは、風営法2条第6項1号の「ソープランド」、2号の「ファッションヘルス」、3号の「ストリップ」、5号の「アダルトショップ」です。
他方、4号営業にあたる「ラブホテル」は対象外なので24時間営業が可能です。
その他、映像送信型性風俗特殊営業(アダルト配信)も制限がありません。
風俗営業が営業時間を規制する理由
ではなぜ国は風俗営業の営業時間を規制するのか。
これにはそもそもの風営法が誕生した目的と関係します。
以下は風営法1条の「目的」規定です。
第1条(目的)
この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。
風営法は昭和59年に大改正があり、その際に設けられたのが上記の目的規定です。
「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」、これこそが風営法の目的なのです。
いわゆる、「飲む」「打つ」「買う」と言われるような、人間本来の欲望に直結する営業業態は、何も規制がないと、街の風俗を著しく害するのみならず、成長過程にある少年の育成に多大なる悪影響を及ぼすことになります。
中学校の前にソープランドがあったら、それは健全とは言えないでしょう。
そのため風営法では、性を売る性風俗特殊営業、射幸心を煽るパチンコやスロット、歓楽的な雰囲気でもてなすキャバクラなどを厳しく取り締まっているのです。