メンズエステは定期的に風営法違反で摘発されます。
最近だと目黒区で運営されていたメンズエステ店、「小悪魔お姉さん」が摘発されました。
参考: https://friday.kodansha.co.jp/article/388810?page=1

では、摘発される店とそうじゃない店の違いはなんなのか。
風営法専門の行政書士が解説します。

メンズエステとは

そもそもメンズエステとはどういったお店なのでしょうか。
Wikipediaによれば、次のような定義づけがされています。

メンズエステとは、男性向けのエステ、もしくは男性向けのエステティックサロンのこと。痩身や脱毛をはじめとした、全身の美容、すなわちエステを目的とした店。リラクゼーションを兼ねていることが多い。
出典: wikiメンズエステ

説明のとおり、リラクゼーションを目的としたエステティックサロンのことです。

とはいえ、実際は様々なメンズエステがあり、女性がセクシーな格好をして鼠蹊部をマッサージする店だったり、いわゆるヌキがある店もあったりするなど、サービス内容は多種多様。

そして、サービス内容が風営法違反になるかどうかの境界線になります。

風営法違反で摘発されるメンズエステ店

性的サービスを提供する場合は、性風俗特殊関連営業の届出が必要になります。
ヌキがあるメンズエステの場合、当然にそれは性的サービスとなり、風営法が規定する届出を出して営業しないと風営法違反になります。

ヌキがなくてもオプションで、胸に触れるなどの、性的要素を含んだサービスを提供していれば、それは性的サービス扱いになります。

店舗型であれば、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型であれば無店舗型性風俗特殊営業という扱いです。

ここまでは当たり前の話で、わざわざ行政書士の私が言うまでもないかもしれません。
しかし、ヌキもなくあからさまな性的サービスを提供していなくても、風営法違反になる可能性があります。

例えば具体的な性的サービスがないにしても、女性が際どい格好をして、際どい部分をマッサージしたりして、客側もそうした接客を期待している場合、それは風営法違反になる可能性があります。

というのも店舗型性風俗特殊営業の要件として、次の事項が定められているからです。

個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
風営法2条6項2号

ヌキがなくても、客の性的好奇心に応じて、際どいサービスを提供するとアウトの判定が下る可能性があります。

「性的好奇心に応じて」とは、風営法の解釈運用基準では次のように定義されています。

店舗型ファッションヘルス営業(法第2条第6項第2号)
(1) 法第2条第6項第2号の営業には、店舗型のファッションヘルス等が該当し、同号中「性的好奇心に応じて」とは、当該客の性的な感情に応えてという趣旨である。したがって、通常のマッサージ等は、同号の営業には当たらない。
解釈運用基準

明言されてるとおり、通常のマッサージであればここでいう性的なサービスにはあたりませんが、女性キャストが明らかに性的な要素を匂わせる際どい格好をし、際どい部分をマッサージする場合、ここでいう「性的好奇心に応じて」に該当する可能性があるのです。

メンズエステのホームページ等に、「当店では風俗的・性的サービスは一切行っておりません」と注意書きしているところが多いのもこのためで、客にそうした期待を持たせないよう釘を刺しているのです。

風営法の届出を出してメンズエステを営業

ほとんどの摘発事例が、風営法が規定する届出を出していないのに性的サービスを提供したことによる風営法違反です。

「だったら始めから風営法の届出出してメンズエステを営業すればいいじゃん」と疑問に思うかもしれませんが、実は風営法の届出を出してメンズエステをやるのは結構難しいのです。

というのも、ほとんどのメンズエステが店舗型だと思うのですが、仮に風営法の届出を出して営業する場合「店舗型性風俗特殊営業」の届出を出す必要があります。

しかし、店舗型性風俗特殊営業は多くの地域で新規の出店が厳しく制限されており、実質的に出店するのがかなり厳しい。
例えば、神奈川県だと、神奈川県全域で店舗型性風俗特殊営業の新規出店を禁止しています。

すなわち、神奈川県では新規に店舗型性風俗特殊営業ができないため、風営法の届出を出してメンズエステの営業も無理だということです。

こうした現状があるため、風営法の届出を出せずに、性的サービスを提供する闇メンズエステ店が蔓延るのです。

おわりに

当事務所は風営法専門ですので、メンズエステ開業のご相談は大歓迎です。
ただ、先ほども書いたとおり、店舗型で性的サービスを提供するメンズエステは、厳しい出店規制があるので難しいのが現状です。

無店舗型であれば出店規制がないですが、店舗を持たずしてお客様に満足してもらえるサービスを提供できるかは未知数です。

適法にメンズエステを営業したい場合は、一度当事務所にご相談いただければと思います。