改正風営法が今年6月28日施行されました。

当サイトでも改正風営法について解説していますので未読の方はご覧になってみてください。

実は上記の記事では解説しなかったのですが、今回の風営法改正ではメンズエステが大打撃を喰らいます。
実際改正風営法が施工後、メンズエステの摘発事例が相次いでいます。

本記事では、なぜメンズエステが大打撃を受けるのか、そしてメンズエステはどのように生き残りを図ればいいのかを風営法に精通した行政書士が解説します。

風営法改正後、初のメンズエステ摘発

風営法改正後、マンションでメンズエステを営み性的サービスを提供していた店が摘発となりました。
風営法改正後初のメンズエステの摘発です。

マンション内で性的サービスを提供していたので、風営法上「店舗型性風俗特殊営業」に該当します。
店舗型性風俗特殊営業は出店に厳しい規制が課されており、現在の我が国においては店舗型で出せるエリアがかなり限定されています。

そのため、事業者は当該記事のメンエス経営者のように無届で営業するのでしょう。

風営法改正でメンズエステ業界が大打撃になる理由

ではなぜ風営法改正によりメンズエステが大打撃を受けるのか。
その理由は2つです。

①無届営業の罰金額が最大3億円

すでに知っている方も多いと思いますが、今回の風営法改正の目玉とも言えるのは罰金額の引き上げ。

改正前は無届営業の罰金額は最大200万円でしたが、罰金額が引き上げられ、個人の場合は1000万、法人なら最大3億円の罰金に引き上げられました。

実に150倍もの罰金アップであり、違法事業者は途端に苦境に陥ることでしょう。

これまでは摘発されても罰金額が安かったため、店の名前と経営者を変えて再度違法営業をする事業者が多かったですが、罰金額が3億円にまで跳ね上がればそうもいきません。

そして、この罰金はホストやキャバクラなどの風俗営業のみならず、店舗型性風俗特殊営業及びに無店舗型も対象なので、メンエスで性的サービスを提供していたら摘発の対象となるのです。

②ほとんどのメンズエステがグレー営業

私が今回の風営法改正で感じたのは、無許可で接待行為をしているコンカフェやガールズバー、そして風営法の届出を出さずに性的サービスを提供しているメンズエステに対する締め付けの強さです。

今回の風営法改正は、一見ホストクラブに対する対策が目玉に見えますが、罰金額150倍の引き上げは無許可・無届の営業事業者を徹底的に排除していくという、警察の強い意志を私は感じました。

例えば警察庁の以下ポストでは、「コンカフェ」とはっきり呼称して、無許可で接待行為をする事業者に注意喚起をしています。

風営法改正後、東京都内のガールズバー7店舗が一斉摘発となったのも、「無許可・無届の営業は絶対に許さない」という警察の強いメッセージに感じます。

メンズエステの多くは風営法の届出を出さずに営業しており、そして性的サービスを提供しているのが実情です。

実際、私の知り合いにメンエス好きがいるのですが、彼もエッチなサービス目当てでメンエスに通っており、多くの店では裏オプという形で性的サービスを提供していると言います。もちろん性風俗関連特殊営業の届出は出さずに営業しているお店でです。

こうしたメンズエステ業界に警察は風営法改正を契機に一斉に取り締まる可能性は高く、仮に個室を設けて性的サービスを提供していると、店舗型性風俗特殊営業に該当し、営業禁止区域に該当すれば28条の違反、そもそも届出を出していなければ27条違反となります。

これまでは見逃されてきた側面もあるでしょうが、今回の風営法改正は大きな転換点であり、そういった意味でメンズエステ業界は大打撃になる可能性が高いのです。

メンズエステはヌキがなくても摘発される可能性があり

風営法の届出を出さずにメンズエステでヌキのサービスを提供していたらもちろんアウトですが、ヌキがなくマッサージだけでもアウトになる可能性があります。

なぜなら風営法では、「ヌキ」があるかどうかで性的サービスか否かを判断しているわけではないからです。
店舗型性風俗特殊営業(箱ヘル、ピンサロ、ソープ等)などに関して言えば、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」と定義してあります。

どこにも「ヌキ」などという文言はありません。

では、性的好奇心に応じて客に接触する役務の提供とは何かというと、解釈運用基準では当該客の性的感情に応えてという趣旨になります。
解釈運用基準では、通常のマッサージ等は除かれると書かれてるので、一見メンズエステは対象外となりそうです。

しかし、多くのメンズエステでは、ホームページ上で女性セラピストが露出度の高い格好をしており、実際の施術でもセクシーな女性が鼠蹊部などの際どい部分を触れマッサージをするわけですから、解釈次第では、客の性的感情に応えて性的サービスを提供していると判断されてもおかしくありません。

普通のマッサージならセラピストがセクシーな格好をする必要もありませんし、鼠蹊部を集中的に施術する必要もない点から考えて、警察の判断次第では「ヌキ」がなくても、施術自体が性的サービスを提供していると判断される可能性は多分にあります。

実際、「ヌキ」なしでも摘発されたメンズエステはあります。

以上から、そもそもメンズエステの営業自体が非常に危ういグレーゾーンの上に成り立っているので、ヌキがなくても摘発される可能性はあるし、ヌキがあれば当然摘発リスクは跳ね上がります。

適法にメンズエステを営業する方法

方法は2つ。

ちゃんと風営法の届出を出すか、届出を出さないなら、性的サービスの提供をしないのはもちろんのこ性的サービスを感じさせる要素を0にする、のどちらかです。

一つずつ解説します。

①メンズエステを風営法の届出を出して営業する

無届営業がダメならしっかり届出を出して営業すればいいのです。

しかしこれが思いの外大変(だから無届で違法に営業する事業者が多いのですが)

というのも、基本的にメンズエステはルーム型営業のため、店舗を構えることが前提です。
そうなると、店舗型性風俗特殊営業の届出を出さなければならないのですが(メンエスの場合は店舗型性風俗の2号営業)、ご存じ店舗型は厳しい規制があり、例えば東京都だと、2号営業で出せるエリアが、台東区千束四丁目(十六番から三十二番まで及び四十一番から四十八番まで)のみです。

しかも店舗の周囲に学校、図書館、などの公共施設があると営業不可。

ちなみに神奈川県は県内全域で2号営業が不可。

店舗型性風俗は存在自体が街の風紀を乱すとされているので、このように新規の出店はかなり厳しく規制されているのが現状です。

さらに店舗型で出すと営業時間も24時までという縛りがあります。

このような状況下だと、そりゃあ事業者も無届でこっそり営業するのも無理ないよなあと思ってしまいます(絶対にダメですが)

となれば選択肢は無店舗型で届出を出すしかありません。

実際無店舗型の風俗エステでも繁盛しているところはあり、具体名は避けますが某T店は売上がうなぎ登りらしいです。

店舗型には店舗型の魅力がありますが、無店舗型でも戦い方次第では全然いけます。

なので、メンズエステを適法に営業したいなら無店舗型で届出を出すのがいいかと。

②性的サービスなし、性的サービスを匂わせる要素を0にして営業

風営法の届出を出さずに営業するなら、性的サービスを一切感じさせない態様で営業するしかありません。

ホームペー上に「当店は風俗店ではありません」と注意書きしているお店がありますが、私から言わせればそれだけの注意書きでは甘いし、それだけで警察が見逃してくれるとは思いません。

書くなら、「当店は風俗店ではなくセラピストがお客様にマッサージを提供するお店です。「ヌキ」などの性的サービスを期待される方は、他の風俗店をご利用ください。当店が性的なサービスを提供することは絶対にありません。もしセラピストの女性から性的サービスの提供を持ちかけられた場合は、すぐにご連絡ください。当店は性的サービスを絶対的に禁止したエステ店なのでご理解お願いいたします」くらいのことを書き、ホームページ及び店舗の目立つ場所に掲示します。

女性セラピストにも絶対に性的なサービスを提供しないよう、業務委託契約を締結する際の条項に設けておきます。

ホームページ上の写真も際どい写真はやめ、通常のマッサージ屋さんのような格好をさせます。

店舗でマニュアルを作成し、そのマニュアルの中で性的サービスの絶対的禁止を記載します。

その上でもちろん性的サービスを提供しない。
それくらいやれば適法にメンズエステの営業ができるかと思いますが、そんなお店にお客さんが来るのかという疑問は依然としてあります。

なので、私としてはやはり無店舗型でもいいので風営法の届出を出すのがベストかと思います。

メンズエステ開業のご相談承ります

やや宣伝っぽくなってしまいますが、当行政書士事務所は性風俗専門なので、メンズエステ開業のご相談を承っています。

適正な運営の指導、警察署に出す書類作成、届出の代行をワンストップでご提供しています。

無店舗型の場合の当事務所にお支払いいただく代行費用は7万円、店舗型でやりたい場合は難しい案件なので要相談、現在のメンズエステの営業が適法かどうかの確認及び運営指導をご希望の方は、5万円+交通費で対応しております。

メンズエステ開業で面倒な手続きを全て丸投げしたい方はぜひ当事務所にご連絡ください。

なお、メンズエステ業界における私個人の所見を述べると、風営法改正が良くも悪くもメンズエステ業界を変えると思っています。

というのも、警察の取り締まりが強化されれば、違法事業者は摘発されていくので、自ずと適法に営業している事業者に恩恵があります。勝手にライバルが市場から消えてくれるわけですからね。

なので、風営法改正により、適法事業者は漁夫の利を得られる可能性が多分にあり、今後新規でメンズエステを出す人には数年に一度の大チャンスと言えるかもしれません。

なんだったら私がメンズエステを開業したいくらいではあります(ノウハウも時間的余裕もないのでできないですが・・・)