古物営業法は、盗品の売買を取り締まる法律です。
そのため、古物商には法律の趣旨に準じた、古物商3大義務というものがあります。

古物営業許可を取り、晴れて古物商になったはいいものの、この3大義務を知らないと、意図せずして古物営業法違反になってしまいます。

本記事では、この3大義務についてわかりやすく解説いたします。

古物商3大義務とは

古物商が3大義務は次の通り。

①本人確認義務(古物営業法第15条)
②取引記録義務(古物営業法第16条)
③不正品通報義務(古物営業法第19条)

一つずつ解説していきます。

①本人確認義務

古物商は、古物を買い取る(仕入れる)際には、相手方の本人確認を行わなければなりません。

このとき確認する事項は以下。

・氏名
・住所
・年齢
・職業

運転免許証等の公的な身分確認書類を掲示してもらい、本人確認を行います。

なお、対面取引と、非対面取引で本人確認の方法が変わります。ざっくり方法の違いは以下の通り。

対面取引の場合
・相手から運転免許証等の身分証の提示を受けること
・従業員等の面前で「住所、氏名、職業、年齢を自書した文書」を受け取ること等

非対面取引の場合
・電子署名がされたメール等を受け取ること
・その他、国家公安委員会規則で定めるいずれかの方法をとること等(相手方に対して本人限定郵便等を送付してその到達を確認する方法など)

ブックオフで古本を買い取ってもらう際に、身分確認書類を掲示し、タブレットに職業を選択し、自署を求められるのは、古物営業法の本人確認義務規定に沿っているわけです。

本人確認義務免除の取引

全ての取引で本人確認義務が生じるわけではなく、次の取引は本人確認義務が免除されます。

①1万円以下の買取
1万円以下の買取の場合は本人確認義務は生じません。

ただ、1万円未満でも以下古物は確認義務が免除されません。

・自動二輪車
・原動機付自転車
・家庭用テレビゲームソフト
・CD・DVD等
・書籍等

②自分が販売した物を、もう一度相手から買い取る場合
古物営業法は盗品の売買を取り締まることが主目的です。
自分が販売した物は、盗品である可能性が限りなく低いため、本人確認義務が免除されています。

②取引記録義務

古物商が古物取引をした場合、その取引を記録する義務があります。

古物を買い取ったり、古物を売却したりしたときに取引記録義務が生じます。

以下が記録事項になります。

・取引の年月日
・古物の品目及び数量
・古物の特徴
・取引相手の住所、氏名、職業及び年齢
・本人確認の方法
(非対面取引で確認した場合、身分証明書等のコピーなども一緒に保存)

これらを古物台帳に記録しておきます。
この記録は3年間の保存が義務付けられています。

なお、全ての取引を記録しなければいけないわけではなく、1万円以下の仕入れについては記録する必要はありません。

もっとも1万円以下でも以下古物は記録義務があります。

・自動二輪車、原動機付自転車
・書籍
・CD
・DVD
・ゲームソフト

売却時にも取引記録義務が生じると書きましたが、売却時は大幅に記録義務が免除されています。

具体的には、売却額が1万円以上かつ以下の古物を売却する場合に取引記録義務が生じます。

・美術品類
・時計・宝飾品類
・自動車とその部分品
・自動二輪車、原動機付自転車およびそれらの部分品

また、売却価格が1万円未満でも自動二輪車本体、原動機付自転車本体(それらの部分品は除きます)は、古物台帳に記載しなければいけません。

売却時の取引記録義務が大幅に免除されているのは、商品を売るたびにいちいち本人確認をして、古物台帳に記録していたら、ブックオフなどの古物を売る店はオペレーションが煩雑になるからでしょう。

なので、基本的には、古物を仕入れるときに古物台帳への記録が必要と覚えておいてください。

③不正品通報義務(品触れ)

古物営業法は盗品の売買等を取り締まるためにできた法律です。

なので、古物商は盗品の疑いがある古物を発見したときは、警察に届け出る義務があります。

なお、厳密に言えば不正品通報義務は、警察が古物商に対して、盗品の疑いがある古物の書面を送付し、古物商が当該盗品を所持していた場合に、警察に届け出なければいけないというものです。

とはいえ、警察から何もそうした要請がなくとも、自身が扱ってる古物の中に盗品が紛れ込んでいる場合には、ちゃんと通報すべきでしょう。

まとめ

以上が古物商の3大義務です。

メルカリ等のフリマアプリは原則匿名でのやり取りが前提となっているため、メルカリで仕入れをする場合は本人確認も難しいですし、古物台帳に取引を記録することも不可能に近いです。

なので、フリマアプリで仕入れをするなら、1万円以下の仕入れに留めておいてください。でないと古物営業法違反になります。

古物営業許可を取りたい、自身のビジネスが古物営業法に違反してないか知りたい、などのお悩みがありましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。