コザクラ行政書士事務所の矢野進磨(やのしんま)です。
当事務所は風営法専門の事務所ですが、「なんで風営法専門にしたの?」とよく聞かれるので、本記事でその疑問にお答えします。
※法律上、風俗営業はキャバクラ、ホスト、麻雀店などを指しますが、本記事では「風俗」を性風俗という意味で用いています。

どん底期に風俗に行く

2021年冬。このとき、私は人生のどん底に突き落とされていました。

詳細は省きますが、私はこの頃長年働いたマクドナルドを辞めなければいけなくなり、「ちっくしょう!だったらビジネスで一発当ててやる!」と意気込んでレンタルスペース運営に手を出すも、あえなく失敗した時期だったのです。無念。

(撤退して全ての設備を撤去したあとの部屋。悲しみ)

仕事も失っただけならまだしも、レンタルスペースの失敗によりお金も失いダブルパンチ。
この頃ほんとお金がなさすぎて派遣バイトを転々としてました。

意気消沈。五里霧中。辛労辛苦。メンタルの弱さに定評のある私は、自我が崩壊しそうになり自分の心を守るためある決意をします。

「風俗に行こう」と。

「いやメンクリ感覚で風俗に行こうとするなよ」とツッコまれそうですが、当時の私のあまりの絶望っぷりを斟酌していただければと思います。

万札2枚握りしめて向かうは立川駅。
60分の変態淫乱コースで21000円。
ただでさえお金がないのにこれは大きな出費ですが、メンクリ代と考えれば致し方なし。

しみったれた汚いホテルで待機してると指名した女の子が到着。
漫画「To LOVEる」タッチ風の美女を期待していたのですが、実際来た女の子は闇金ウシジマくん作画みたいな風貌。

無事パネマジの洗礼を受けた格好ですが、胸のでかさとフレンドリーな性格が相まってプラマイ0。

「まあいっか」

持ち前の呑気さと切り替えの速さでパネマジを許容し、60分間たっぷりしっぽり楽しみ、気付けば傷ついた心は快方に向かってました。

我ながら実に単純だと思いますが、マジでこの一夜でだいぶ救われました。
(このときの経験は個人ブログで書いていますが、生々しい内容なのでここでは紹介しません)
この経験により私は風俗業界を身近に感じました。これが漠然と風俗関係の仕事をしたいと思った最初のきっかけ。
胸は偉大なり。

誤解と偏見にまみれた業界

夜の世界は誤解と偏見にまみれており、風俗業界はそれが特に顕著だと感じます。
というのも、風俗業界は基本的にネガティブな文脈でしか語られることがないのです。

経済的に困窮してるから風俗嬢になる。風俗嬢は皆病んでて仕事は嫌々やっている。風俗嬢はホス狂い。
こんな話ばかり。

私はこの業界に救われてる人間、この業界が好きな人間もいると思っていますが、そうした人たちの声が世間様に届くことはまずなく、その代わり不幸な風俗嬢の話は至る所で流布されています。

ノンフィクションライターの中村淳彦さん著作、「女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白」では悲痛な風俗嬢の叫びがクローズアップされています。

作中に登場する大学3年生21歳の鈴木梨乃(仮名)さん。
彼女は大学1年の頃からピンサロで働き始めます。
ピンサロで働いた理由は年間110万円の学費を負担するため。父親は借金を抱え、母親は精神疾患を抱えしかもヒステリー持ちなので、親からの経済的援助は期待できない。だから鈴木さんはピンサロで働かざるを得なかったのです。

「キレちゃうから(母親が)面倒くさくて口出せない。怒鳴られるのは嫌だから。でも、大学生になってずっとピンサロみたいなところで働いて、結構ツラい。楽しいことなんて何もないし、ツラいだけ」

第三章 最底辺風俗嬢109pより引用

鈴木さんは現状をそう嘆きます。

本作ではこうした不幸な風俗嬢の話が延々と続き、望んで風俗嬢をやっている人は一人として登場せず、皆一様に経済的困窮が理由で夜の世界に足を踏み入れています。
読んで陰鬱な気持ちになることは間違いないでしょう。

中村さんは風俗の仕事について以下のように語ります。

不特定多数の男性と性行為をする風俗嬢の仕事は非常にツラい。女性の裸の価値にデフレが起こって大したお金にならない大前提があるうえに、2人きりの個室やラブホテルで男性の欲望をストレートにぶつけられる。それに加えて差別や偏見の的になる、違法の可能性、男尊女卑が業界に浸透しているので搾取される、性暴力を受ける、情報遮断される、恋愛や金銭感覚がおかしくなるなどなど、高校卒業したばかりの勉強したい女の子が就くような仕事ではないのだ。本当に何もいいことがない。

第一章 毒親チルドレン41~42pより引用

浅薄な私が大変に実績のあるノンフィクション作家の中村さんに苦言を呈するのは非常に心苦しいですが、上記で語っているのはあくまで中村さんの主観であり、「本当に何もいいことがない」と言い切るのはあまりに過言。

無論、風俗業界は相変わらず悪習が残されており、遵法精神のかけらもない店が未だあるのかもしれません。
しかし、中村さんの物の見方はあまりに一面的すぎて、「風俗嬢は皆不幸でなくてはいけない」という前提に立ったアンフェアな論評にしか思えません。
(まあそういうテーマの本だからでしょうけど)

本書を読んで思うのは、忌むべきは風俗ではなく貧困のはずなのに、「風俗はひどい仕事だ」という論調に終始しているように感じました。
風俗の仕事を殊更、「素晴らしい仕事だ!」と言うつもりはないですが、殊更貶める必要もないでしょう。

私は中村さんに限らず、このような業界の一面的な部分だけを見て評価をする風潮がフェアじゃないと感じます。

代表挨拶でも書いたのですが、国が性風俗産業をコロナ補助金の対象外にしたことも私は釈然としませんでした。(もちろんコロナ補助金は公金なのである程度は致し方ない側面もありますが)

そうした様々な反発心が相まって、風営法に進みたいと思ったわけです。

異端の風俗ユーチューバーホンクレch

2020年2月。あるYouTubeチャンネルが爆誕します。
それがホンクレch。

・ ホンクレch‐本指になってくれますか?

「カリスマ風俗嬢、会社をリストラされYouTuberに?!」より引用: https://www.youtube.com/watch?v=R-iFhVk8uOg

このチャンネルは現役風俗嬢のまりてんさんが立ち上げたもので、随時メンバーが入れ替わり現在はまりてんさんとるるかさんの2人で運営されています。

私はこのチャンネルを初めて観たとき衝撃を受けました。なぜならホンクレチャンネルは、最初から一貫して風俗業界の良さを発信しているから(本人はそんなつもりないでしょうが)。

私のイメージでは風俗系のコンテンツって、業界の闇やヤバ客のエピソードみたいな過激系の内容が中心だと思っていたので、業界の良さを発信するなんて考えられませんでした。
なので、業界の闇ではなく光を発信するホンクレチャンネルは業界の中でかなり異端だと思います。

なぜこのようなチャンネルになったかというと、それはまりてんさんはとにかく業界が大好きだからでしょう。

元々まりてんさんは新興宗教の家庭に生まれ、高校生までかなり抑圧された環境で育ちました。

誕生日を祝うの禁止、戦う系のアニメ禁止、競争も厳禁だから運動会で競うのもダメ、信者以外との男女交際禁止、婚前交渉などもってのほか。

このような特殊なルールに縛り付けられたまりてんさんは、県外の大学に進学したことで弾けます。
具体的には逆ナンパ師になります。

路上、コンビニ、居酒屋、場所を問わず男に声をかけまくり連日連夜ワンナイトを繰り返すのです。時には1日で3人と相手することも。それだけ抑圧の反動が大きかったのでしょう。

このまりてんさんのはっちゃけっぷりを見た友人が、「だったらそれを仕事にしちゃえばいいじゃん」とアドバイスし、まりてんさんは大学生で初めて風俗の世界に足を踏み入れるわけです。そこで風俗という世界の面白さを知ることになります。

そんなまりてんさんも大学卒業。卒業と同時に一旦風俗を引退しwebデザイナーとして就職します。そして3年働いた後退職し再び業界に復帰。
その後、自分でお店立ち上げたり、そのお店を譲渡したり、病んでしまったり、色々あったのですが、「やっぱり業界が好き」ということで、ホンクレchを始めるに至っているのです。

まりてんさんは自身が業界に惹かれた理由を以下のように語っています。

 私はセックスが好きとかエロが好き、とかよりも、ピロートークが好きなんです。「今日、会社で」とか「実は、家でさ」とか、あれって男性の本音でしょう。そこに人間くささを感じて居心地がいいな、って思ったんです。
だって、子供のころは長老と言われる人から、ウソくさい正しい建前ばかり聞いて育ちましたから。「これは正しい」「これは間違っている」「その行いは、悪魔の手先がやることだ」「サタンだ」って、すべてが1か0かでしたから。ドロッとした人間の本音というか、白でも黒でもない曖昧な人間くささを求めるようになっていたのかもしれません。

「人間くさい業界に救われた」新興宗教家庭に育った女性が風俗嬢になったワケ より引用

間違いなくまりてんさんは業界に救われた人間の1人でしょう。

まりてんさんのような方もいるのに、業界がネガティブな文脈で語られることが多いのがやはり残念。

そうして風営法専門行政書士に

・風俗行ったら救われたよ
・世間様の業界の偏った見方にムカついたよ

まとめればこの2つが私が風営法専門の道に進んだ理由。
大袈裟に言うなら、風俗行ったら人生変わったということです。

こういう話を書くと、「お前は風俗業界を肯定的に見てるのかもしれないけど、事実、嫌々風俗をやってる子だっているじゃねーか!調子いいことばっか宣ってんじゃねー!」と言われてしまうかもですが、私からすればそりゃそうでしょという所感。

そもそも風俗に限らず普通の仕事だって嫌々やってる人はいるわけで、なぜ風俗の世界だけそれが強調されるのかがわかりません。
どの仕事においても、好きでやってる人、生活のために仕方なくやってる人、好きではないけど給料が良いから何となくやってる人、などなど様々な属性がいて然るべきでしょう。

だから私は別に風俗の仕事を殊更称賛するつもりはなく、ただ単に一つの職業として敬意を表するのみです。とにかく私は公平でありたいだけ。

おわりに

一応断っておくと、私は業界を変えたいとも、業界のことを悪し様に言う人たちと組んず解れつの激闘を繰り広げたいわけでも、「風俗は性的搾取だあぁ!」と口角泡を飛ばすフェミニストと不毛なレスバをしたいわけでもありません。

生憎私は矮小で臆病で小心故、世間様の風潮に逆らう気骨はまるでなく、単に業界が好きで恩義があるからひっそりこっそり業界の裏方としてサポートをしたいだけにすぎません。炎上勘弁。今も中村大先生につい銃口を向けてしまい心底震え上がり身体中の穴という穴から謎の汁がダラダラ漏水しているザマです。

ほんの少しだけ業界の健全な発展に寄与できればいい。ただそれだけです。

そんな当事務所ですが、行政書士法の目的規定にあるように、私は行政手続きの専門家として国民の権利利益の実現に質するよう全力を尽くしますので、ぜひともご依頼をお待ちしております。
特にデリヘル関係は強いのでお任せください!
ではでは。

【その他参考にした資料】
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