2025年6月28日から改正された風営法が施行されます。
さらに、6月4日に警察庁による「接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて」という通達があり、ホストクラブの広告宣伝に規制が入ることになりました。
通達を見る限りではピンポイントにホストクラブを狙い撃ちした内容であり、既存のホストクラブ事業者にとっては厳しいものといえます。
早速詳しい内容を見てみましょう。
ホストクラブの広告宣伝に規制
風営法第16条では広告宣伝の規制がなされています。
(広告及び宣伝の規制)
第十六条 風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。
法第16条に基づき、6月4日に警察庁が通達した「接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて」では、広告宣伝について新たな解釈を提示しています。
具体的には、以下が広告宣伝規制の対象となります。
(1) 接客従業者の営業成績を直接的に示す文言の表示
例:「年間売上〇億円突破」、「○億円プレイヤー」、「指名数No.1」、「億超
え」、「億男」
(2) 営業成績に応じた役職の名称等の営業成績が上位であることを推認させる文言
の表示
例:「総支配人」、「幹部補佐」、「頂点」、「winner」、「覇者」、「神」、「レジェン
ド」、「新人王」
(3) (1)及び(2)以外の「ランキング制」自体の存在、接客従業者間での優位性を裏
付ける事実等の接客従業者間の競争を強調する文言の表示
例:「売上バトル」、「カネ」、「SNS総フォロワー数○万人」
(4) 客に対して自身が好意の感情を抱く接客従業者を応援すること等を過度にあお
る文言の表示
例:「○○を推せ」、「○○に溺れろ」
かなり具体的な内容ですね・・・
例えば、アドトラック等で、「○億円プレイヤー、指名数No.1!」などの文言でキャストを宣伝する広告が流れるのは歓楽街ではよく見る光景ですが、これはダメになりました。
上記はあくまで例示であり、今回の通達は、「著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すものとして、広告及び宣伝の規制違反に該当すると解される」というのが趣旨です。
趣旨をざっくりわかりやすくお伝えすると(あくまで私の理解ですが)、過激かつ過度な表現で客を煽り、キャストたちの競争心を煽り、それがトラブルの温床になるのでやめましょうね、ということです。
なので、例示されている文言以外でも規制の対象になる可能性は十二分にあるので、今回の通達の趣旨をしっかり理解するようにしてください。
「『売上バトル』がだめなら、『利益バトル』ならいいってことだよな」などの解釈はくれぐれもしないように。
例示はあくまで例示であって、例示の裏にある趣旨を理解しないと意味がありません。
【雑感】警察がホストクラブを潰しにきている
今回の通達は風俗営業者に対する規制なので、ホストクラブだけではなくキャバクラやパチンコなども対象なのですが、内容を見るにどう考えてもホストクラブをピンポイントに潰しにきています。
風営法改正にあたって、警察庁が発表したポスターも完全にホストクラブを名指しで糾弾しています。

改正内容もほぼホストクラブを想定したものであり、徹底的に悪質ホストクラブを排除しようという警察の強い意志が見えます。
今回の風営法改正で私が一番引っかかったのは、色恋営業をしてはならないという点。
私はキャバクラとホストクラブの両方に行ったことがないので的外れなことを言うかもですが、私はそもそもキャバクラやホストクラブは疑似恋愛を楽しむ場所だと考えています。
疑似恋愛前提で楽しむ場所なのに、キャストの好意を本気にし、キャストにハマりガチ恋し気付けば身を滅ぼすほどの金を使うのは愚か以外の何者でもありません。
本人が自分の愚かさを自認して遊ぶなら全然いいと思うのですが、しかしそれで「私は騙された。私は被害者なんだ」と被害者意識を持つのは何か違う気がしてなりません。
逆の立場で考えてほしいのですが、いい歳したおっさんがキャバ嬢にガチ恋して、散々貢いだあげく、結局その子が振り向いてくれなかったとして、「ふざけんな俺のこと好きって言ってたじゃねーかよ!騙しやがって!」とブチギレる人がいたらどう思いますか?いや、そらそうやろとしか思わなくないですか?
それがなぜホストクラブだと一転女性客は被害者になるのか浅学非才な私には理解ができません。
なので、ホストクラブを槍玉に上げさも社会問題かのように論じるのは私には違和感でしかなく、今回の風営法改正にはもろ手を挙げて賛同できないのです。
あえてホストクラブの問題点を挙げるとするならば、それは売掛システム。
売掛とは要するにツケ払いです。
売掛システムがあることにより、女性客は自身の支払い能力を超える飲食等をすることができます。
女性客は所持金以上のサービスを享受でき、店側は売上アップが狙える(売掛部分はキャッシュフロー的に0ですが)わけで双方にメリットがあります。
しかし、言うまでもなくツケは借金。
借金を許容するシステムがトラブルを生まないわけがありません。
この売掛システムはキャバクラには存在しません。なぜか古来よりホストクラブにだけ売掛システムが蔓延っています。
忌憚なき意見を言わせてもらうなら、自分の支払い能力を超える飲み食いをする客、そしてそれを許容する店、両方が思慮に足りないのでは?と辛辣に思ってしまう所存です。
各所で起きてるホストクラブのほとんどの問題はこの売掛金に起因している気がしてなりません。
売掛システムの大きいツケが今回の風営法改正に繋がったのかもしれませんね。
おわりに
やや脱線してしまいましたが、兎にも角にも今回の警察の通達はホストクラブにとっては手厳しすぎる内容です。
事業者各位はしっかり通達内容に目を通し、適正な運営に尽力していただければと思います。
今回の広告及び宣伝の規制と風営法改正については下記に貼っておきますので、一度目を通していただければと思います。
【参考資料】
・接待飲食業における広告及び宣伝の取り扱いについて(通達)
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通達)