キャバクラより安い値段で楽しめるガールズバー。
近年そんなガールズバーが風営法違反で摘発される事案が増えています。
参考: 東京・湯島で急増のベトナムガールズバー 〝元祖〟の店摘発、不法就労疑いも
風営法専門の行政書士が、ガールズバーが風営法違反で摘発される理由を解説します。
ガールズバーは深夜酒類提供飲食店営業?
多くのガールズバーは深夜酒類提供飲食店の届出を出して営業しています。
深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜に(0時〜6時)お酒をメインに提供する飲食店を指し、例えばBARや居酒屋、そしてガールズバーなどが対象になります。
深夜にお酒を提供する店が必ず届出が必要ということではなく、あくまで「酒類をメインに提供」しているかがポイント。例えば牛丼屋が深夜にお酒を提供しても、メインは牛丼なので届出の必要はありません。
ガールズバーは基本的には深夜にお酒をメイン出す店なので、深夜酒類提供飲食店営業に当てはまるということです。
ではなぜガールズバーが風営法違反で摘発されるかというと、それは「接待行為」が確認されるからです。
風俗営業許可を取らずにガールズバーで接待行為をするとアウト
接待行為をする場合は風俗営業の1号許可を取らなければなりません。
風俗営業許可を取らずに接待行為を行った場合風営法違反となります。
接待行為はどういう行為を指すかというと、解釈運用基準では次のように定義されています。
接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。
この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来
店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手
を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことを
いう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常
伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準第四
歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなし、客もまたそうしたもてなしを期待することが接待にあたります。
といってもこれだけだとわかりづらいので具体例を。
具体的には次の行為が接待に該当します。
- 談笑・お酌等
特定少数のお客さんの話し相手になったり、お酒を提供したりするなどの行為。
もっとも、世間話程度の会話や、単にお客さんの注文に応じてお酒を提供するだけなら接待行為にはなりません。 - ショー等
特定少数のお客さんに対して、客室等でショーや演奏等を見せる行為。 - 歌唱等
特定少数のお客さんに対して、歌う行為を推奨(カラオケなど)、又は一緒に歌ったり、手拍子や拍手などで盛り上げたりする行為。 - ダンス
特定のお客さんと一緒になってダンスをしたり、又はさせたりする行為。
もっとも、技能及び知識を習得させる目的としてダンスレッスンをする場合は接待行為にはなりません。 - 遊戯等
特定少数のお客さんと、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
もっとも、お客さん同士、又はお客さん一人でゲームをする場合は直ちに接待に当たるとはいえません。 - その他
お客さんの身体に密着したり、手を握るなどの行為。
又は、お客さんの口許まで飲食物を差し出し飲食させる行為。
ポイントは、店側が主体となり、「店側の積極的行為」により「特定のお客さん」に働きかけ、お客さんも「歓楽的雰囲気を期待して来店する」場合接待行為になるということです。
(常連のお客さんとちょっとした世間話をするなどは接待行為には該当しません)
ガールズバーでこのような接待行為が散見される場合、風俗営業許可を取ってない場合には風営法違反となります。
カウンター越しだから大丈夫、という都市伝説
巷で言われるのが、「カウンター越しだから大丈夫」という話。
この論拠を拠り所に、風俗営業許可を取らずにガールズバーを運営する人が多いですが、カウンター越しだろうが接待行為があれば問答無用でアウトです。
風営法の条文、施行令、施行規則、解釈運用基準、全て読んでも、どこにも「カウンター越しなら接待行為は許容する」といった文言はありません。
ゆえに、「カウンター越しだから大丈夫」というのは完全に都市伝説の類。
論点は、接待行為があるかどうかです。
接待行為があるなら風俗営業の1号許可を取ろう
ガールズバーで接待行為をするなら風俗営業許可を取るしかありません。
風俗営業許可1号は、住居集合地域では許可が下りず、かつ営業所の近くに保全対象施設があっても営業できません(学校や図書館、保育園など)。
また、先ほども書きましたとおり、深夜酒類提供飲食店営業から風俗営業に切り替えると、深夜0時までしか営業できません(営業延長許容地域の場合は1時まで)。
そうしたことも踏まえてご判断ください。
当事務所は風営法専門の行政書士事務所なので、いつでもご相談をお待ちしております。