無店舗型性風俗特殊営業、いわゆるデリヘルにおいて、外国人を雇うことはできるのでしょうか?

本記事では、風営法専門の行政書士がデリヘルにおける外国人雇用のルールについて解説します。

デリヘルで雇用(業務委託)可能な外国人の在留資格

結論、デリヘルで外国人をキャストとして雇う場合、以下の活動に制限のない在留資格を持つ人に限られます。

1.永住者・特別永住者
2.日本人の配偶者等
3.永住者の配偶者等
4.定住者

上記の4つの資格は身分系の在留資格で、法的には日本人と同等に扱われます。
なので、日本人同様、デリヘルでキャストとして働かせることができるのです。

それ以外の一般的な就労ビザや留学ビザを持つ外国人がデリヘルのキャストとして働くことは、入管法違反になります。

資格外活動許可について明確に、「風俗営業、店舗型性風俗特殊営業若しくは特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動」は許可の対象外とされています。
出典:資格外活動許可について

すなわち、身分系の在留資格以外は、デリヘルはもちろんのこと、キャバクラやアダルト配信なども行うことができません。

このように、入管法(出入国管理及び難民認定法)は、基本的に外国人による性風俗及び風俗営業の活動を許していません。

デリヘルで外国人を雇用(業務委託)する際は必ず本人確認を

風営法では、キャバクラやデリヘルなどの営業に対して、雇用(業務委託)する従業員の本人確認を厳密にやるよう規定しています。

第三十六条の二 (接客従業者の生年月日等の確認)
接待飲食等営業を営む風俗営業者、店舗型性風俗特殊営業を営む者、無店舗型性風俗特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者及び第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者は、当該営業に関し客に接する業務に従事させようとする者について次に掲げる事項を、当該事項を証する書類として内閣府令で定める書類により、確認しなければならない。
一 生年月日
二 国籍
三 日本国籍を有しない者にあつては、次のイ又はロのいずれかに掲げる事項
イ 出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格及び同条第三項に規定する在留期間の満了の日並びに同法第十九条第二項の許可の有無及び当該許可があるときはその内容
ロ 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者として永住することができる資格

外国人を雇用する際には、日本人以上に厳格に本人確認をしてください。

そして、実際外国人を雇用することにしたら、必ず従業員名簿を作成し、雇用した外国人の記録をつけておきましょう。

従業員名簿は、その従業員が退職してから3年間保管するよう義務付けています。

従業員名簿の法定様式はありませんが、以下事項を記載します。

・ 氏名
・ 住所
・ 性別
・ 生年月日
・ 採用年月日
・ 退職年月日
・ 従事する業務の内容
・ 国籍

ちなみに風営法における行政処分で一番多いのが、この従業員名簿の備え付け義務違反です。

なので、警察は店舗等に立ち入り調査する際は真っ先に従業員名簿を確認します。

必ず本人確認をしっかり行い、そして従業員名簿を備え付けておきましょう。

おわりに

例えば外国人キャストだけを集めたコンセプトのデリヘルを作る場合、デリヘルの届出を出すとき、おそらく警察に色々とご指導をいただくかと思います。

「ちゃんと本人確認してね!」「身分系の在留資格以外の人は雇っちゃだめよ!」などをつらつら言われるかと。

なお、外国人だと夜のお店で働くのが厳しいから無許可・無届で営業を始める人もいたりします。

最近だと、ベトナムガールズバーが風俗営業の許可を受けずに、無許可で営業していましたね。

当該経営者は、風営法違反のみならず、不法就労の助長の罪にも問われるので、かなり厳しい状況に追い込まれることでしょう。
だから警察も目を光らせているのです。

繰り返しになりますが、警察が立ち入る際にほぼ必ず確認するのが従業員名簿です。
なので、外国人キャストを雇用する場合はしっかり本人確認をし、適切に従業員名簿に記録しておきましょう(本人確認書類のコピーも取っておき、警察立ち入りの際には掲示できるようにしておくといいでしょう)。

ではでは。