風営法には従業員名簿の備付け義務があります。
詳しくは後述しますが、警察は風俗営業者の捜査をする時まずこの従業員名簿を確認しますので、従業員名簿は極めて重要です。

本記事では風営法専門行政書士が、従業員名簿の記載事項、保管期間、などを解説します。

従業員名簿の備え付け義務

従業員名簿の備え付け義務があるのは以下の業態になります。

・ 風俗営業者(キャバクラ、ホスト、スナックなど)
・ 性風俗特殊営業(ピンサロやソープ、デリヘル、テレクラなど)
・ 特定遊興飲食店(ナイトクラブ、ライブハウスなど)
・ 深夜酒類提供飲食店(居酒屋、バー、ガールズバーなど)

備え付け義務の根拠は、風俗営業等の規制及び適正化等に関する法律第36条、施行規則106条、107条に記されています。

従業員とは正規社員非正規社員を問わず、また業務委託でも従業員と扱われます。

従業員名簿の必須記載事項と保管期間

名簿の様式に決まりはありませんが、必須記載事項があります。
この事項を記載しないと、せっかく名簿があっても従業員名簿備え付け義務が履行されたことになりません。
以下が必須記載事項です。

・ 氏名
・ 住所
・ 性別
・ 生年月日
・ 採用年月日
・ 退職年月日
・ 従事する業務の内容
・ 国籍

これらの事項を記載していれば書類の様式は問いません。

特に国籍に関してはしっかり公的書類で確認しましょう。
外国人の場合働ける在留資格が決まっているので、在留資格の確認も必ずしてください。

従事する業務の内容ですが、以下のような記述で大丈夫です。

「客の注文を受けて飲食物を配膳する。客の話し相手になったりお酌したりする。」
キャバクラなどの場合

退職年月日は、従業員がまだ勤続中であれば記載する必要はありませんが、従業員が退職した場合はその退職日を記載してください。

そして従業員名簿の保管期間は、その従業員が退職した日から起算して3年間です。
3年間はしっかり名簿を備え付けておきましょう。

従業員名簿備え付け義務違反の罰則

従業員名簿を備え付けていなかった、又は必要な記載をしなかった、もしくは虚偽の記載をした場合、100万円以下の罰金に処されることが、風俗営業の規制及び適正化等に関する法律53条3号に規定されています。

警察は風営法違反の疑いで捜査する時、従業員名簿は真っ先に確認するといわれています。
実際、警察が発表している「風俗関係事犯等の取締り状況について 令和五年版」で見ると、行政処分の件数が一番多いのが従業員名簿の備え付け義務違反です。

出典:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/hoan/R6kouaniinnkaihoukoku3.pdf

それだけ義務違反が多く、そして警察も目をつけているポイントだということです。

「従業者の確認義務違反」も次に多いのにも注意です。
従業員の言葉をそのまま信じたりせず、従業者の情報は必ず公的書類等で確認するようにしてください。
特に年齢等を偽られてしまい、未成年を従事させてしまった場合さらに問題になります。
仮に風俗営業で未成年者(18歳未満の者)を接待等の業務に就かせた場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はこれを併科されます。
必ず年齢は確認してください。

まとめ

前述した通り従業員名簿の備え付け義務違反はかなり多いです。
当事務所に依頼いただければ従業員名簿の様式は無料でお渡しできるので、ぜひご相談ください。