Candfans(キャンドファンズ)は、クリエイターとファンが繋がれるSNSで、そのほとんどがアダルトコンテンツです。

そこで問題になってくるのが、クリエイターとしてCandfansでアダルトコンテンツを投稿する場合、風営法の届出は必要なのかという点です。
この疑問に風営法専門行政書士が解説します。

アダルト配信をする場合風営法の届出は必須

結論からいうと、Candfansでアダルトコンテンツを投稿する場合風営法の届出は必要となります。
なぜなら風営法はインターネット上でアダルトコンテンツを配信する場合の規定を設けており、一定要件に該当した場合、届出を出さないと無届扱いとなり罰則が適用されてしまうのです。

必要な届出は「映像送信型性風俗特殊営業」という届出。
映像送信型性風俗特殊営業は、風営法に以下のように定義されています。

この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条8項

出典: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122

文章が堅苦しいですが、要は営利目的でインターネット上で性的なコンテンツを配信することを指します。

解釈運用基準によれば、「性的な行為を表す場面」とは、自慰行為、性交、性交疑似行為などが想定されいます。

「衣類を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業」は、以下が想定されています。

(ⅰ) 大腿部を開いた姿態
(ⅱ) 陰部、臀部又は胸部を誇示した姿態
(ⅲ) 自慰の姿態
(ⅳ) 排泄の姿態
(ⅴ) 愛撫の姿態又はこれを連想させる姿態
(ⅵ) 緊縛の姿態
性的な行為を表す場面で、次に掲げるもの
(ⅰ) 男女間の性交又は性交を連想させる行為
(ⅱ) 強姦、輪姦その他のりょう辱行為
(ⅲ) 性交類似行為
(ⅳ) 変態性欲に基づく性行為

    映像とは、動画だけではなく静止画も含まれています。

    以上を踏まえると、Candfansでアダルト配信をする場合風営法の届出は必須ということになります。
    ただ、届出の要件として「営業であること」が要求されるので、お金を取らず趣味でやっている場合は届出は必要ありません。

    映像送信型性風俗特殊営業の届出に必要な書類

    届出に必要な書類は以下となります。

    1. 映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書(別記様式第31号)
    2. 営業の方法を記載した書類(別記様式第32号)
    3. 事務所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書の写し・建物に係る登記事項証明書など)
    4. 住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
    5. 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票(4に同じ)

    1と2の書類は法的様式で警察署のHPからダウンロードできます。
    この中で厄介なのが3の使用承諾書。
    というのも、映像送信型性風俗特殊営業の要件として事務所が必要になるのですが、その物件オーナーに「この物件を映像送信型性風俗特殊営業の事務所として使わせてください」という使用承諾書を書いてもらう必要があるのです。これがネック。

    なぜなら、物件オーナーからしてみれば自身の物件を「性風俗」と名の付くものに利用されるのを嫌がるからです。中には「風俗店をやるのか?」と誤解する物件オーナーもいるでしょう。なので、物件を契約する際には、映像送信型性風俗がどういうものかを丁寧に説明する必要があります。

    現在の自宅を事務所として使うこともできますが、その場合でも賃貸なら使用承諾書を書いてもらう必要があります。

    これらの届出を所轄の警察署に提出します。

    AV新法との関係

    1人でアダルト配信をするならなんの問題もないですが(自慰行為など)、演者(女優さん男優さん)を使って撮影する場合、AV新法が絡んできます。
    AV新法は通称、「AV出演被害防止・救済法」といい、性的な映像を配信する場合、つまりAVを制作する場合関係してくる法律なのですが、これには同人AVも含まれるため、演者を使ってCandfansでアダルト配信をする場合も関係があるのです。

    AV新法は性的映像製作者(この場合、キャンドファンズでアダルト配信をする人)に、以下の義務を課しています。

    1. 出演契約締結時の契約書等の交付
    2. 説明書面の交付
    3. 撮影時の出演者の安全を確保する義務
    4. 契約から1か月間の撮影禁止
    5. 全ての撮影終了から4か月間の公表禁止

    契約から1ヶ月は撮影できず、撮影が終了してから4ヶ月はその映像を公開できないので、契約から最低5ヶ月は映像を配信できないことになります。
    しかも撮影一回毎に契約書を交付しなければならないため、仮にCandfansで配信する場合、動画1本毎に契約書を巻かなければなりません(撮影した映像を分割して配信する場合は契約書は1回巻くだけでOK。あくまで1撮影1契約というルール)。

    その他にも厄介なルールがあるので、詳しくは下記記事で確認してください。
    参考: AV新法/AV出演被害防止・救済法におけるAV製作者の注意点!同人AVとの関係も解説

    映像送信型性風俗特殊営業とAV新法の罰則規定と逮捕者

    映像送信型性風俗特殊営業を無届で営んだ場合、6ヶ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が課せられますので、必ず届出は出すようにしましょう。

    AV新法の場合は、出演者の任意解除を防ぐために不実のことを告げたり、出演者を威迫するなどを行った場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、又はこれを併科されます。

    説明書面、契約書面を交付しなかった、又は虚偽の記載をして交付した場合は6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれを併科されます。

    実際に逮捕者も出ています。
    最近だと、AV新法の契約書交付義務に違反して摘発された男がニュースになりました。
    参考: 16歳の少女に淫行、契約書交付せずにAV撮影 容疑で24歳男逮捕

    必ず届出を出し、演者を使う場合はAV新法の義務を遵守してください。

    おわりに

    当事務所は風営法専門の事務所なので、映像送信型性風俗特殊営業届出の代行をしておりますので、これからキャンドファンズでアダルト配信をする予定の方はぜひお問合せください。

    AV新法関連でも何かご不明点があれば気軽にお問合せください。
    ではでは。