ファンティアなどのプラットフォームを使ってアダルト配信事業をやろうと考えている法人さんから、よく当事務所にご相談をいただきます。

そこで本記事では、アダルト配信事業を行う場合、関係してくる主な3つの法律をご紹介します。
この法律を遵守しないと罰金、最悪の場合逮捕という憂き目に遭います。

【風営法】アダルト配信をするなら映像送信型性風俗特殊営業の届出を

飲食店をやる場合は飲食店営業許可が必要ですよね。
アダルト配信も同じで、アダルト配信を業として行う場合風営法で届出が必要とされています。

その届出が映像送信型性風俗特殊営業

以下が風営法の2条8項の条文。

この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。

性的好奇心をそそる映像を配信する場合、風営法上の映像送信型性風俗特殊営業となり、届出を出さずに営業をすると、6ヶ月以下の懲役、及び100万円以下の罰金、または両方を併科されます。

「何が性的な映像になるの?」と疑問を感じるかもですが、風営法の解釈運用基準によれば、「性的な行為を表す場面」とは、自慰行為、性交、性交疑似行為などが想定されており、「衣類を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業」は、以下が想定されています。

【具体的な性的な行為を表す場面】
(ⅰ) 大腿部を開いた姿態
(ⅱ) 陰部、臀部又は胸部を誇示した姿態
(ⅲ) 自慰の姿態
(ⅳ) 排泄の姿態
(ⅴ) 愛撫の姿態又はこれを連想させる姿態
(ⅵ) 緊縛の姿態
性的な行為を表す場面で、次に掲げるもの
(ⅰ) 男女間の性交又は性交を連想させる行為
(ⅱ) 強姦、輪姦その他のりょう辱行為
(ⅲ) 性交類似行為
(ⅳ) 変態性欲に基づく性行為

上記の要件に当てはまっている場合は届出必須。

なお、あくまで「営業」なので趣味でやっている場合は届出の必要はありません。

趣味というのは、お金を取らず、ただ無料で配信しており、実態性の観点から営業とは呼べないものです。

【刑法】公然わいせつ・わいせつ物頒布等

アダルト配信事業において、刑法の条文が関係してくるのが、174条の「公然わいせつ」と175条の「わいせつ物頒布等」の2つです。
一つずつ解説していきます。

公然わいせつ

刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

有名な条文なので知っている方がほとんだと思いますが、公然の場でわいせつな行為を行った場合刑法174条が適用されることになります。

174条のいう「公然」とは不特定または多数の人が認識することのできる状態をいいます。
なので、道路などで裸になって自慰行為などをおっ始めれば、公然わいせつ罪が成立します。

なぜアダルト配信事業に公然わいせつ罪が関係するのかというと、例えば無許可で勝手に電車内で痴漢モノの同人AVを撮影したり、あるいは公園などの野外で男女の絡みのシーンを撮影し、それらの映像を配信した場合、これは公然わいせつ罪になり得ます。

なので、アダルト配信事業を行うなら撮影する場所に注意するべきでしょう。

わいせつ物頒布等

刑法第175条
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

わいせつな物を頒布(配って広く行き渡らせること。アダルト配信も頒布にあたる)した場合に刑法175条が適用されることになります。

では何がわいせつ物になるのか。
これはアダルト配信においては、無修正動画がわいせつ物にあたります。

実際、アダルト配信事業で逮捕される人の多くが無修正動画の配信です。

サーバが海外にあれば日本の法律は適用されないとか、海外のサイトで配信すれば大丈夫みたいな情報が出回っていたりしますが、これは嘘で、撮影場所が日本で配信場所も日本なら、日本の法律で裁かれます。なので日本でアダルト配信事業を行う限り、無修正動画の配信は不可能。

この点においては警察もかなり厳しいので、絶対に無修正で動画を配信するのはやめましょう。
無修正動画の配信で逮捕される人が本当に多いです。

【AV新法】契約書締結義務と期間制限

AV新法はメーカーが作った適正AVのみに適用される法律ではなく、同人AVにも適用されます。

AV新法は、AV出演によって望まない映像が配信されてしまったり、撮影強要などで苦しむ女性を救うための法律です。

アダルト配信事業を行う場合において、女優さんを起用する場合、その女優さんとしっかり撮影契約書を締結し、なおかつ撮影に関する説明書面を交付しなければなりません。

さらに、契約締結から1ヶ月経過するまで撮影を行うことができず、全ての撮影が終了してから4ヶ月経過しないと映像を公開することができないという、期間制限が設けられています。

さらに、1年以内なら女優さんは無条件で契約を解除することができ、契約を解除されたら配信している映像の差し止め等の対応が必要になります。

このように、AV新法が要求する規定はかなり事業者にとって負担が大きく、そして最大1億円以下の罰金が生じるため、アダルト配信事業者はしっかりAV新法を理解しておかねばなりません。

当事務所の以下記事を合わせてご参照ください。

おわりに

まとめると、アダルト配信事業を行う場合関係してくる3つの法律は、風営法、刑法、AV新法です。
どれもとても重要なので、必ず理解しておいてください。

当行政書士事務所は映像送信型性風俗特殊営業の届出を代行していますので、こらからアダルト配信事業を行う方はぜひご連絡いただければと思います。