メイド喫茶が秋葉に誕生して以来、いろいろなコンセプトのお店が派生し、コンセプトカフェは一つの文化にまで発展した感があります。

そんなコンカフェは、果たして風俗営業許可を取る必要があるのか。

この疑問に風営法専門の行政書士が解説します。

コンセプトカフェに風俗営業許可は必要か

結論、コンセプトカフェでも接待行為が認められる場合は風俗営業の1号許可が必要になります。

特に最近の警察はコンセプトカフェも厳しく取り締まる傾向にあり、摘発のニュースをよく目にします。

直近だと、歌舞伎町のコンカフェ4店舗が、風俗営業の許可を取っていないのに接待行為を行い一斉摘発となりました。
参考: 歌舞伎町のコンカフェ4店舗摘発、無許可接待容疑 未成年も雇用か

摘発された店舗の一つ、「賭ケタガリ」の公式SNSやHP等を見てみると、女性キャストとポーカーなどのギャンブルを楽しめるお店の模様。

風営法の基準に照らし合わせるなら、特定の客と女性キャストがゲームに興じた場合、それは明確に接待行為に該当するので、摘発は自明と言えるでしょう。

ちなみに「賭ケタガリ」は衣装や設定などは漫画「賭ケグルイ」をほぼ丸パクリしており、風営法違反の前に、著作権等でも一悶着ありそうなお店でした(汗)。

一昔前はコンカフェ自体が新業態ということもあり、この手のわかりやすい接待行為は見逃されてきた感がありましたが、最近の警察はコンカフェの実態も把握しつつあるので、厳しく取り締まっている印象です。

なので、これからコンカフェを始めたい人は、「小規模な店でちょっとだけ接待行為するならバレないでしょ」などとは思わないことです。
日本の警察は存外優秀なのでいずれ摘発の憂き目にあいます。

接待行為とは具体的になに?

「風俗営業許可を取らないと接待行為がだめ」と言われても、具体的に接待行為とは何を指すのでしょうか。

風営法では接待行為は次のように定義されています。

この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律二条三項

歓楽的雰囲気でもてなす。曖昧ですね。

そこで風営法の解釈運用基準を見てみると、具体的な定義付けがなされています。

接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。
この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来
店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手
を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことを
いう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常
伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準第四

以下が解釈運用基準で示されている具体的な接待行為です。

①談笑・お酌等
特定少数のお客さんの話し相手になったり、お酒を提供したりするなどの行為。
世間話程度の会話や、単にお客さんの注文に応じてお酒を提供するだけなら接待行為にはなりません。

②ショー等
特定少数のお客さんに対して、客室等でショーや演奏等を見せる行為。

③歌唱等
特定少数のお客さんに対して、歌う行為を推奨(カラオケなど)、又は一緒に歌ったり、手拍子や拍手などで盛り上げたりする行為。

④ダンス
特定のお客さんと一緒になってダンスをしたり、又はさせたりする行為。
もっとも、技能及び知識を習得させる目的としてダンスレッスンをする場合は接待行為にはなりません。

⑤遊戯等
特定少数のお客さんと、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
もっとも、お客さん同士、又はお客さん一人でゲームをする場合は直ちに接待に当たるとはいえません。

⑥その他
お客さんの身体に密着したり、手を握るなどの行為。
又は、お客さんの口許まで飲食物を差し出し飲食させる行為。

冒頭で紹介した摘発店舗「賭ケタガリ」は、お客さんとポーカーなどのゲームに興じていたわけですから、明確に接待行為です。

ポイントとしては、店側の積極的行為により、特定のお客さんに働きかけると、接待行為と判断されます。

参考: 風営法における接待行為とは何か

18歳未満の子をキャストとして働かせてもアウト

コンカフェの風営法違反で接待行為と並んで多いのが、18歳未満の女の子をキャストとして働かせることです。

コンカフェに接待行為がなければ風俗営業許可を取る必要がないので、業態的にはただの飲食店営業になるため、高校生が働くのは問題がありません。

しかし接待行為が認められると、風俗営業許可が必要になり、風俗営業は18歳未満の者に接待行為をすることを認めてないので、風営法違反になります。

風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。
四営業所で午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二十二条一項

JKカフェが消滅した理由

以前、現役女子高生が働く「JKカフェ」という業態が流行っていましたが、現在は完全に消滅しました。
その理由も、風俗営業は18歳未満の者に客に接待行為を提供してはいけないというルールに、全力で抵触したから。

私は以前取材のためにJKカフェに訪れたことがありますが、現役の女子高生たちがカウンター越しにお客さんと話しており、それは風営法の基準に照らし合わせれば明確に「接待行為」でした。

そりゃあ警察も放っておかないよなという所感です。

このように、コンカフェにしてもJKカフェにしても、いくら名称を変えたとしても、未成年の女性に接待行為をさせたら一発アウトです。
ご注意ください。

コンカフェのことでお悩みの方はご相談ください

例えばコンカフェのサービスとして「チェキを撮る」がある場合、チェキもやり方次第では「接待」にあたる可能性もあります。

どういったサービスが風営法違反になるかは、風営法を知悉してないと中々判断が難しいです。

これから自分がオープンしようとしているコンカフェが風俗営業許可が必要か心配になったら、ぜひ一度当事務所にご相談ください。