マッチングアプリや出会い系サイトのサービスを始める場合、インターネット異性紹介事業の届出を出す必要があります。

本記事では、届出に必要な書類や注意点などを解説します。

インターネット異性紹介業の4要件

まずは定義から。
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の2条2号にて、次のように定義づけがされています。

インターネット異性紹介事業異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいう。

条文だとやや分かりづらいですが、ガイドラインではインターネット異性紹介事業とは以下の4つの要件を満たすことを指します。

① 面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること
② 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること
③ インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること
④ 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していること

出典: https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a05_introduction/release/documents/ss20-752.pdf

マッチングアプリや出会い系サイトは、異性の交際を目的としてインターネット上で情報提供し、マッチングした人たちがメッセージを送り合えるので、インターネット異性紹介事業の要件に合致するということです。

ちなみに趣味の交流サイトなどで異性交際を目的としてない場合は、インターネット異性紹介事業に該当しません。

インターネット異性紹介事業の届出に必要な書類

インターネット異性紹介事業は、事務所の所在地を管轄する警察署を通して公安委員会に届け出る必要があります(事務所がない場合は住居)。

神奈川県の場合は生活安全課が窓口です。

届出に必要な書類は次のとおり。

・ 事業開始届出書
・ 住民票(本籍記載、外国人の場合は国籍等を記載)
・ 身分証明書(禁治産・準禁治産宣告の通知、後見登 記の通知、破産宣告・破産手続き開始決定の通知を受けていないことの 証明書。 本籍がある市役所で交付してもらう)
・ 送信元識別符号を使用する権限があることを疎明する資料(①ドメイン検索サイトの画面印刷 ②URL利用料の支払い明細書)
・ 誓約書

ここでいう身分証明書は、いわゆる免許証や健康保険証などではなく、市役所で発行する身分証明書なのでお間違い無く。

法人の場合は以下書類も追加で必要になります。

・ 登記事項証明書
・ 定款の謄本
・ 誓約書(法人事業者用)
※法人の場合は住民票と身分証明書が役員全員分必要になります

届出を出す場合これらの書類を用意しましょう。

欠格自由

インターネット異性紹介事業は欠格事由があり、欠格事由に該当すると事業をすることができません。
欠格事由は次のとおり。

・ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・ 禁錮以上の刑に処せられ、又は出会い系サイト規制法、刑法第182条、児童福祉法第60条第1項若しくは児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する罪若しくは性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条から第6条までに規定する罪(その被害者に児童が含まれるものに限る)を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない方
・ 最近5年間に出会い系サイト規制法第14条又は第15条第2項第2号の規定による命令(事業の停止等)に違反した方
・ 暴力団員である方又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない方
・ 心身の故障によりインターネット異性紹介事業を適正に行うことができない者
・ 未成年者
・  法人で、その役員のうち上記(1)〜(5)、児童のいずれかに該当する方のあるもの
神奈川県警より引用

法人の場合は代表者だけでなく、役員全員も対象なので必ず確認するようにしてください。

児童でないことを確認する義務

インターネット異性紹介事業において「児童」とは18歳未満の者を指します。
事業者は18歳未満の者にサービスを利用させないよう防止する義務があります。

年齢確認の方法として次のような具体例が考えられます。

① クレジットカード支払いにする(18歳未満はクレカを使えないから)
② 運転免許証や健康保険証などの本人確認書類の写しや写真を提供してもらう

インターネット異性紹介事業を規制する法律は、児童売春を防ぐという目的もあるため、事業者は18歳未満の利用はさせないよう厳しく確認せねばなりません。

おわりに

当事務所は風営法専門ですが、インターネット異性紹介事業の届出も対応しておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。